病院で出された食事を口にする気にもなれず、深空は窓の外をぼんやりと見つめていた。

 日が傾き、オレンジ色に焼けた空を眺めていると、どうしても心が切なくなり、深空は胸が締め付けられ苦しくなっていた。思わず、痛む胸に手を当てた。そして目を伏せると、頭の中にくっきりとあの時の翠の顔が浮かんでいた。

 鬼のように笑う翠

『死んだって、綺麗さっぱりと無くなることなんてないのよね…?』

 あの言葉の意味。それはもちろん…

 "私の死を忘れさせやしない"

 彼女のメッセージは、確実に深空の胸に刻まれていた。