そこまではちゃんと覚えている。彼は意識を失い、深空の胸に飛び込むようにして倒れ込み意識を失ったのだ。そのあとの彼女の記憶もなく、どうして病院にいるのかは解らなかった。

(…深雪に会いたい)

 会って、あの小さな体を力いっぱい抱きしめてあげたい。

(一人で暗いところに閉じ込めれて怖かったでしょう…?)

 思わず深空は、自分の腕を抱きしめた。

(あたしを置いて行かないで… 必ずあたしの元に帰ってきて… お願い…)

 もはや、深空には祈ることしかできなかった。