ゆっくりと瞳を開けて、目の前に広がる滝を見つめる

彼女と一緒に見た、あのレリーヌの滝

幸せだった、あの刹那の時間が甦る




これで良かったのだと思う反面

ユラユラと揺れる自分の心が歯がゆい




――俺は一体どうしたいんだ




この国で俺は生きる事はできない

父さんが目覚めたら、あの風の国へ帰る


こんな柔らかい風ではなく

強く逞しい、あの風の国へ―――



それなのに、この想いが足を引っ張る



前に進もうとする俺の足を

絡めて離さない