温かい日差しが俺の背に当たる
じんわりと熱を持って
空を見上げると、木々の隙間から空の青が見える
すると、突然ふわりと一度風が頬を撫でた
その瞬間、香る
甘い花の香り
思わず、手綱を引いて馬の脚を止める
どこかで嗅いだ事のある、咽返りそうな花の香り
俺の胸を締め付ける
この香り
「レ..イア?」
思わず、零れた言葉が頼りなく揺れる
キョロキョロと辺りを見渡す
少し離れた所にいるグレイスが不思議そうに首を傾げている
ドクドクと心臓が早鐘を打つ
ありもしない彼女の姿を探す
それでも
「気のせいか」
彼女の姿はどこにもない