「――よいのです」
お礼を言った俺の顔を見ずに、悲しそうに笑ったまま
ふるふると小さく首を横に振るグレイス
その小さな体にそっと触れて、優しく抱きしめる
微かにビクンと震えた彼女だけど、そっと俺の背に手を回した彼女
暖かな彼女の体温が、徐々に伝わってくる
きっと、これが最後の時だ
「君の事は忘れない。本当にありがとう」
「私も、決して忘れません。アレン様」
強く抱きしめあって、別れを告げる
その瞳に溜まった涙が、太陽の光に輝いて眩しい
「何故泣く」
ふっと笑って、零れ落ちそうな涙を指ですくう
笑ってほしいと思って
グレイスには、笑顔が似合うから