俺を見つめるグレイスを、何も言わずに見つめ返す

ただ、じっと



パタパタと髪の先から水滴が落ちて

地面に水たまりを作る



それでも、目の前に立つグレイスは何も言わずに、ただ俺を心配そうに見つめている

その姿に、無意識にレイアを重ねてしまう


その瞳や髪や肌に

レイアとの共通点を探してしまう



最低な事だと思って、思わず目を閉じた

ぎゅっと





すると

小さな声が耳に届く




「言ったでしょう? あなたはきっと恋をなさる、と――」