グレイスに促されて、自分の部屋に戻る
淡い光が部屋に灯されている
睫毛に水滴がついているせいか
世界に、まるでガラスの破片が散らばっている様に煌めきながら淡く揺らめいている
「今、お着替えをお持ちいたします。お待ちを」
「――あぁ。すまない」
無理して笑った顔が、引きつる
どうにもこうにも、心が潰れそうで
笑顔を作る事も、ままならない
そんな俺を見て、そっと距離を縮めるグレイス
ふわりと香る花の香りに、胸が詰まる
「どうされたのですか?」
俺の瞳を覗き込む彼女
その瞳が頼りなく揺れている
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