「分かっておられるはずです」



ホリスの冷たさを孕んだ声が耳に届く

揺れる私の心を、押さえつける様に

正しい方に導く様に




――あぁ。分かっている

私の使命も、私の体は私だけのものではない事も

分かっている――誰よりも




思わず、ふっと笑う

自嘲気に




「会ってどうされるのですか。未来など、そこにはないと言うのに」




未来など。ない


そう言われて、確かにそうだと思う

私とアレンには未来などない



一緒に幸せに暮らす。など

そんな美しい未来など、どこにもない



どこにも

ないのだ―――