――そこで、伏せていた瞳を上げる



目の前にいるのは

美しい銀色の髪をなびかせる、ホリス


あの日と変わらないのは

その美しい銀の髪


それだけ――




この男も変わってしまった

あの日を境に

心を閉ざしてしまった





「月を見ていたのだ」




何も言わないホリスに、そう言う

その言葉を聞いて、私と同じ様に空を見上げたホリス




「月など、見えませぬが」

「私には。見える」




あの厚い雲の向こうに輝く

あの美しい月が


見える