「――おそらく…敵の数は7万ほどかと」




どこか頼りない声でそう呟いた騎士の言葉を聞いて、一瞬眩暈がした



7万―――



先の戦での数は2万

それでも、我が国を壊滅的な状態に追い込んだというのに



遠のきそうな意識をぐっと掴む

そして、その勢いのまま駆けだした




「姫様っ!! どこへ行かれるのですか!?」

「外の様子が見たい」

「いけません! 危のうございます」

「この様な部屋に籠っていても、何も分からぬではないか」




この目で見なければ

今、何が起こっているのか



アレンやホリス、ゲル達は命を懸けて戦っているというのに、私だけこんな安全な場所で報告だけ受けているなど我慢できない



後を追ってくる騎士達の声も聞かずに

部屋を出て砦へと駆けていく



柔らかい風に混ざって、血の匂いがする

込み上げる気持ちを抑えながら、足を進めた



アレン―――



心の中で、愛しい人の名を呼びながら