「――父さんっ!!」




徐々に晴れてきた霧の中で父の姿を見つけた

俺の声に反応した父の背に駆け寄って、向かってくる敵を斬りつける




「父さん、大丈夫!?」

「やはり数が多いな、キリがない」

「味方も随分やられている」

「ガスパルの進軍のスピードも予想以上だ」



剣を振り上げたガスパルの腹を剣で斬りつけながら父が吐き捨てる様に言う


辺りを見渡せば、黒い鎧を着たガスパルの兵と

白い鎧を着た騎士達が折り重なる様に、赤に染まり倒れている



予想以上に敵の数が多い

霧の奥から黒い海の様に押し寄せてくる兵達を見て、思う




しかし、瞬きをした瞬間

再び深い霧に覆われる世界




「アレン!! 霧が出てきた!! 合図を送れ!!」



背中で父がそう叫んだのを聞いて

腰から下がっていた白い貝を吹く



先程と同じ音が世界に響く