徐々に森に近づくにつれて、地響きが大きくなる

心臓の奥まで響く、重低音の響き




「アレン! 気を抜くな!」

「父さんも!」



隣を駆けていた父にそう言う

一度目を見て頷いた後、共に霧の中に身を投げた




真っ白になる世界

悲痛な音だけが世界に響く




全神経を研ぎ澄ませて、目の前だけを見据える





「どけけぇぇ!」



すると、突然世界の端でそんな声が聞こえた

白の中に浮かび上がる黒



それ目掛けて、剣を振り上げる



力強く地を蹴り上げて

黒い集団の中に飛び込んだ