「――んっ」
小さな蕾の様な唇にそっとキスを落とす
どこか冷たいそれを温める様に、何度も
お互いの吐息だけが漏れる世界で思う
何度も
何度も
時間が止まればいいと―――
「‥時間だ」
それでも、俺達の生きているのは現実で
そんな夢物語は、どこにもない
乾いた俺の声と共に、互いの唇を離す
潤んだ瞳で俺を見つめる彼女の髪を一度撫でた
名残惜しむ様に
「アレン」
「ん?」
「愛している」
涙の変わりに零れた言葉に胸が熱くなる
その言葉が、暗闇の中の一筋の光の様に
俺の世界を照らしだす
鮮やかに
輝き放つ