それでも、現実は俺達に夢さえも見させてはくれない

残酷に過ぎる時間は、刻々と俺達の首を絞めていく




「こうやって抱きしめる事は、しばらくできそうにない」

「――‥あぁ」

「きっと明日の朝には、ガスパルが国に入る」



そうすれば俺は騎士達と共に戦場へ

こうやって、抱きしめる事もままならない




「アレン」

「――ん?」

「約束してくれ」



突然そう言って、俺の体の中から離れるレイア

陰りを知らないターコイズの瞳が俺を見つめる





「必ず、生き抜くと」

「――」

「もう一度、私を抱きしめると」



ぐっと俺の服を掴んで、強い眼差しでそう言うレイアの頬に手を添える

透き通る真珠の様な肌が、恐ろしいくらい冷たい