「敵は間違いなく、アネモスに向かっております」




静まり返った部屋に、透き通った声が響く

いつもの様に冷静な顔をして、机の上に広げられた地図の上を指でなぞるホリス





「あちらの、兵の数は」

「分からぬ。だが、以前とは比べものにならぬほど多い」




どこまでも冷静なホリスの言葉が、冷えきった部屋を一段と冷たくする



突き付けられた現実が、あまりにも悲劇に似たもので

思わず瞳を強く閉じた





「こちらの兵の数は」



地図を見下ろしながら、小さく呟いたレイア

その言葉を聞いて、誰もが口を噤む




俺達の周りを囲む大臣や、ホリスまでもが――



そんな不穏な空気を感じて、レイアが回りを見渡す

その視線から逃れる様に、皆が下を向いた