「レイア様っ!!! アレン様っ!!!」
耳を劈く様な、悲痛な声が突然世界に満ちる
美しく、穏やかな世界には
似つかわしくない、そんな声が
「何事だ?」
廊下の端から血相を変えて駆けてくる、1人の騎士の姿を見て、レイアが目を見開く
尋常ではない、その姿に嫌な予感が胸を覆う
真っ黒な、得体のしれない
黒いものが胸に広がっていく
「どうした!?」
息を切らして、俺達の前で跪いた男に問いかける
俺の声を聞いて、勢いよく顔を上げた若い騎士の顔は、信じられない程狼狽していて青ざめていた
そして、微かに震える唇をグッと噛みしめて
大声で叫んだ