「そうですわ! レイア様、アレン様。西の森の入り口に、綺麗な花が咲いていましたの。もし宜しかったら、お2人で愛でてやって下さい」



思い出した様に、グレイスが胸の前で手を合わせてニッコリと笑う

屈託のないその笑顔が、まるで花が開く様に艶やかだ




「へぇ、もうすぐ冬になるのに力強い花なんだな」

「それならば、グレイスも共に行こうぞ。案内してくれ」

「はい、喜んで」




秋も終わりを告げて、冬の気配がする

どこか凍てつく様な寒さの中

他愛もない、こんな毎日が心を温かくする



こんな日がどこまでも続けばいい

柔らかい日々が、それこそ永遠に――




でも




そんな穏やかな世界を壊す様に

慌ただしい足音が聞こえてくる



破滅へ向かう

足音が