「それに――思い出の中でしか、生きられぬ者もいる」




父が言ったその言葉に、レイアの瞳が揺れる

美しいターコイズの瞳が微かに光った



――そうだ



死んでしまった者は、残された者の思い出の中でしか生きられない

もう、時間は進まないのだから



「過去を恐れるな、ホリス。過去は己の糧になるものだ」

「――」

「悲しみも苦しみも、それは強さになる。すべて受け入れて、前に進むのだ――大丈夫だ、いつかきっと笑える日が来る」




優しく微笑んだ父に、ホリスの瞳がレイアと同じ様に揺れる

微かに震える唇をグッと噛んで、前を見つめている




「私にも――‥その日が、来るのだろうか」




しばらくして、小さくそう呟いたホリス

その声はどこか頼りなく

吹く風に飛ばされそうだった