「アレン」



じっと空を見つめるレイアに問うた俺に、まるで咎める様に声を落としたホリス

触れてはいけないと、警告する様に




すると、視線を下ろして俺を見つめるレイア

そのどこか寂しげな顔を見て、一瞬聞いてしまった事を後悔した



例え思い出になったとしても

どれだけ月日が経とうとも


その傷は、癒えないものだと分かっているから





「レイア――」



言わなくていい。と言おうとした時に

不意に美しいターコイズの瞳が柔らかく細められた

花が開く様に微笑んだ彼女の笑顔に言葉を失う




「――誰よりも、この国を愛していた。父様も、母様も、兄様も」




その表情は、悲しみではなく

懐かしむ様に、穏やかだった