「それにしても、ゲルとアレンは似ていないな」
目の端に溜まった涙を拭ったレイアが、そう言う
同じ事を思ったのか、ホリスも小さく頷いた
「これはな。私と違って、まるで聖職者だ」
「――父さんっ!」
きっと、この国へ来る前に寄ったマルスでの事を言っているのだと思って、背筋が凍った
胸元の大きく開いたドレスを着て、妖美に笑う女性の顔を思い出す
そんな俺を見て、にやりと笑った父
「まぁ、少しは男になったがな」
その視線の先にレイアがいるのを感じて、顔が赤くなる
確かに、自分でも変わったと思う
根本的な事は変わらないが
どこか変わった
人を愛する事を知った俺は
もう昔の俺とは違う
守りたい人がいるだけで
こんなにも人は変わるものなのかと、驚く