「お前に足りないのは、柔軟さだ」



ニタニタと顎髭を触りながら、眉間に深い皺をよせるホリスにそう言う父




「――柔軟さ…」

「そうだ。そんな怖い顔して堅物じゃ、一生嫁もできぬぞ」

「それは騎士とは関係ないではないか」

「――だから青いのだ、ホリス。一度誰でもいいから抱いてみろ。世界が変わるぞ」




ゲラゲラと笑って、そう言う父の言葉に絶句するホリス

真面目な性格故か、父の言う言葉をすんなり受け入れてしまう癖があるらしい



その隣でクスクス笑うレイアも、父さんの事を気に入ってくれている

ホリスと一緒になって、よく父の話を楽しそうに聞いていた



まぁ、父の様な人間がこの国にいないから

珍しく思ったのもあるだろう




「ホリス、あまり父の言葉を鵜呑みにすると、痛い目にあうぞ」

「――そのようだな」




世界はゆっくりと変わっている

それも、温かい方向に