なんだか切なくなってきて、父の顔を見ずに頷いた



――どうしてだろう

父の前だと、なんだか自分が子供の頃に戻った様な気持ちになる

もう立派な大人なのに




「お前の事だ。きっとずっと悩んでいたんだろう」

「――」

「お前がどれだけヴェントスを愛しているか、私が一番よく知っている」



俯いた俺の頭をガシガシと力強く撫でた父

その言葉に、目頭が熱くなる



――そう

誰よりも、あの国を愛していた

離れるなんて考えられなかった



でも

俺は見つけたんだ

それ以上のものを――




まだおぼつかない足で、ベットから降りて歩き出した父



それでも、一瞬ふらついた父に急いで駆け寄ると

情けないな。と言って、笑った