心の中でそう呟いた瞬間

心に温かいモノが流れ込んできて、やっと息ができた


そして一度大きく息を吐いて、ゆっくりと瞳を開ける


暖かな世界の中で、父が俺をじっと見つめる

大好きだった、あの海と同じ色の瞳で





「俺の生きる場所は、ここだと決めたんだ。父さん」



帰らない――



大好きな海にも

大好きな山にも

大好きな民にも

愛した、国にも――




「俺は、決めたんだ」




例え大切な何かを捨てても

ここで

彼女と一緒に生きてみたい