「我らが守らずに、誰があの国を守る」



父の言葉を聞いて、ぐっと瞳を閉じる


瞼の裏に浮かぶ、美しい海と山々に囲まれたヴェントス

風の国



今でも聞こえてくる

俺の名を呼ぶ民の声

笑い声の響く市場


愛する祖国

俺の―――




〝――アレン″



すると、突然頭の中でレイアの声が響いた

俺の名を呼ぶ、どこまでも響く美しい声

暗闇の中で浮かぶ、暖かな光



――…そうだ。



俺は決めたんだ

誰に何を言われようと、もう迷わないと

ここで、生きていくと