俺の落とした言葉を聞いて、視線を俺に移した父
その瞳を見ずに、もう一度言葉を落とす
「俺は、この風と共に生きる」
「――」
「そう、決めたんだ」
この国で
この風と――彼女と共に生きていく
「父さんは――怪我が治り次第、国へ」
「――」
「俺はここに残る」
最後にそう言って、父に目を向ける
しかし、じっと俺の顔を見つめたまま何も言わない父
その瞳は一度も揺れる事はない
ジリジリと敵を追い込む様に、俺の瞳を見て追い詰めていく父
その圧迫した空気に、窒息しそうになる
すると
「アレン」
低い声が空気を揺らして、俺の耳に届く
その瞬間、再び息を詰めた