「・・・噂は誠であったか」




扉が閉じたのを確認して、静かに父さんが口を開いた

それでも、その声はどこか夢うつつだ



「噂?」



ベットの上で未だ茫然とレイア達が消えていった扉を見つめる父の側まで歩み寄る




「光の国に住む者は皆、見た事もないほど美しい姿をしている、と」

「――あぁ。俺も初めて見た時は息をするのも忘れたよ」



ケタケタと笑いながらそう言って、父のベットの脇に腰かける

すると、ゆっくりと俺に視線をずらした父

どこか痩せた様に感じるその姿に、少し胸が痛む




「私は‥どれだけの間、眠っていた?」

「――ここに来て、季節は3度変わった」

「何という事だ・・・ヴェントスには? クレムは?」



一度頭を抱えて、弾ける様に俺に詰め寄る父

そんな父の手を優しく取って、その背を撫でる