片腕で彼女の体を抱き寄せて

その細い顎に手を添える

潤んだ彼女の瞳に、俺が映っている



薄く赤らむ彼女が愛おしくて

恥ずかしさに唇を噛む姿が愛おしくて

無意識に笑みが零れる




「――もっと、だ」




そう言って、顔を近づけた時―――







「――アレン様ッ!!!」



突然、どこからともなく俺の名を呼ぶ声が聞こえた

触れ合いそうだった唇を寸での所で止めて、視線を声のした方に向ける


すると、離れた場所にあるレリーヌの滝の側からグレイスの駆けてくる姿が見えた




「グレイスだ」

「何かあったのだろうか」



ゆっくりと俺の腕から逃れたレイアが頬を赤らめながら、恥ずかしそうに声を落とした