倒れ込んだ男の荒々しい息遣いが世界に満ちる

汗と泥が混ざった黒い汗が、男の頬に流れる


激しく上下する喉元に、突きつけた剣が微かに当たっている





「――たっ助けてくれぇっ」

「お前はそう言った民に、情けをかけた事があるか」



両手を上げて悲願するガスパルにそう言う

男の顔から噴き出る様に汗が滲む

引きつった顔で、目を泳がせている




その姿を見て愚問だな、と思う

情け、など――こんな男がかけるはずなどないと思って




「仲間はどこにいる」

「し‥知らねぇよっ――ほっ本当だっ、信じてくれっ」



高揚のない声で、男を見下ろしながらそう問う

そんな俺を見て、今にも泣き出しそうな声で、そう言う男