――いける



そう思って、静かに剣に手を這わす

ピリピリとした緊張感が俺を包む



ぐっと足先に力を入れて、柔らかい土に沈ませる

どこか生暖かいそれが、これから浴びるであろうものに似ていて、ゾクリと背が震えた



チラリと視線だけホリスに向けると、同意する様にコクリと頷いた




〝――危なくなったら、手助けしてやろう――″



先ほどのホリスの言葉を思い出す

それでも、目の前の2人の男を見て、ふっと笑う



こんなの、1人で十分だ――




その瞬間、駆けだす

風に乗って



どこか暗い赤に染まる世界で

剣の銀だけが、光る



まるで月の様だと思って、一瞬レイアの顔が浮かんだ




剣を抜いた音に気付いたのか、ガスパルの男が叫ぶ

それでも、今の俺の耳には届かない



何も