「もう少し行った所で、民が見かけたそうだ」




大きな木に隠れて、小声でそう言うホリス

その言葉を聞いて、コクンと頷く



日が傾いてきた頃、俺とホリスはガスパルの残党の気配があるという、東の森へ来ていた


鮮やかな夕日の色と折り重なって

空が青く染まり、夜の訪れを感じさせている




こういった緊張感や、どこか得体のしれぬ高揚感は久しぶりだ

以前は息つく暇もないほど、戦に明け暮れていた



それが当たり前だと思っていた

それが自分の使命だとも



でも、ここに来てから自分が何者か分からなくなった


剣を無くしたら、自分には何も残らないと思って

酷く自分というものを見失いかけていた



だから、自分の生きる意味が欲しかった