クルクルと小さな螺旋階段を昇る

上に向かって、ただひたすら




胸の中がアレンで溢れてしまいそうで

気が付いたら、あの場所へ向かっていた




アレンと初めて会った、あの時の庭へ




私の一番好きな場所

王家の庭


幼い頃からよくここで過ごした

父様や母様、兄様と―――



そんな幸せな思い出が急に心の中に甦る

途端に胸が痛くなって、思わず唇を噛みしめた


小さな思い出に触れる度に甦って、鮮やかに発色する、幸せだった日々

もう戻る事のない、幸せに満ちた日々


蓋をしていたはずの思い出が、溢れて落ちていく

自分の意志とか関係なしに



その度に酷い喪失感に襲われる

あの庭は変わらず、そこにあるのに

父様達だけが、もういない

すっぽりと、その場から抜け落ちている