約束の相手――



前世で深く愛を育んだ相手

固い約束で結ばれた男女の生まれ変わり




この地に残る、美しい伝説




それでも、今目の前に広がっている現実を思い出して、思わずふっと笑う

そんな俺に気づいて、不思議そうな顔をしたグレイス




「約束の相手・・・だったのかもしれない――でも、きっと俺達は伝説の姫と王子の様な道を歩く事になる」



別々の道を

生まれた時から、敷かれている道を



そして、お互いその道を逸れる事は許されない

その上でしか自分は生きられないと分かっているから




「そんな美しい未来、どこにもない―――俺も、望んでいない」



優しい場所も

美しい未来も


そんなものいらない



ただ、君の笑顔を見ているだけで

それだけでいい―――