柔らかく、その瞳を細めてそう言ったレイア

想像もしていなかった事に、言葉が落ちない




「竜族...の王子だったのか。その男は」

「あぁ、戦士の国の王子だった。そして、その男も、この約束は代々王家に伝えると、姫に約束をした―――だが、竜族は滅びた」

「だから...伝説」



もう、その約束は叶う事はない

竜族は滅びた

だから『伝説』になった

果たされる事のない『約束』




「この伝説を伝えるのも、私で最後になった」



悲しそうに微笑んで池を見つめるレイア

まるで、ここで恋に落ちた姫を想う様に



伝説の中の姫も、その約束を代々王家に言い伝えてきたんだろう

他の国から援護を受ける事ができない、アネモス



だから、もしもの事があれば

きっと竜族が助けに来てくれると



彼が来てくれると―――