「ここだ」




馬を蹴って、森に入って暫くした時

レイアが1つの池の前で馬を止めた



何の変哲もない小さな池

ただ、その周りを囲む様に真っ白な花が咲き乱れている




「この池が、どうしたんだ?」



一足先に馬を降りた彼女に、そう問いかける

すると、馬を木に括り付けながら俺を見上げて微笑むレイア




「この池にはな、伝説があるのだ」

「伝説?」

「美しく、色褪せぬ伝説だ」

「――」

「・・・側に」



この池に? と思って、じっと眺めていた俺に、そっと手を伸ばしてそう言うレイア

その手を取って、俺も馬を降りる