あたしは何も言えなくなった。

沈黙。

「ね…ねぇ。名前なんて言うの?」

と、あたしが聞いてみた。

「あぁ。オレ、章悟。阿部章悟。」

「よろしくね。章悟君」

「無理して笑わなくてもいいよ。」

気づいてたんだ。よほど

引きつってたんだろう。

「ご…ごめんね。」

はぁ…。もういやになっちゃうよ。

「こんなときに聞くの悪いけど、

この前の彼氏なの?」

ズキッ

胸が痛い。

「う…うん。」


「ごめんな。」

「何で章悟君が謝るの?」

「お前泣きそうな顔してるから…」