「あ、そうだ」
「……？」
飛呂くんは、書類を鞄にしまったあと、ブレザーのポケットからスマホを取り出した。
「俺のメアド教えとく。これから何かと役に立つだろ」
「えっ？」
「言っとくけど、他の奴に絶対教えたりするなよ。そんなことしたら焼き鳥にするからな」
や、焼き鳥？！
何それ、ひどいっ！
「しないよ、そんなこと！」
「ならいい。ほら、携帯貸せ」
相変わらず、驚く。
この豹変ぶりは。
誰にでもこんな態度はとらない。
慣れた奴にしか言わないとか、よく言ってるけど。
女の子たちが、みんなだまされてるみたいで、なんだか可哀想だ。
「…よし。これでいっか。なら、俺は帰るわ」
「…あ、うん」
くるりと向けられた背中。
相変わらず、大きかった。
朔ちゃんも身長は高いけど、飛呂くんはもっと高い。
どのくらいあるんだろう？
……モデルみたいだ。
