「……あ。いた」
本当に、飛呂くんはわたしの家の前にいた。
どうして知っているのかを尋ねたら、前にわたしにぶつかったときの記憶を辿って見つけにきたらしく。
確かに、家の前には思いっきり【潮田】って書いてあるなぁって、納得。
朔ちゃんは、わたしの後ろにいて。
それに気づいた飛呂くんは、ペコリと頭を下げた。
「じゃあ、俺は帰るね。おやすみ君花」
「…あっ、お、おやすみ！ありがとう朔ちゃん！」
「いえいえ」
朔ちゃんが玄関を開けて、ちゃんと家に入るまで見届けて。
「…あ、ごめんね飛呂くん」
飛呂くんと、向き合う。
「…それで、あの、話って…」
「……あー。書類、ヒヨコに全部任せてしまったから、どーなったかなって…」
「……え」
そ、それだけ……？？
集計の様子を見るために、わざわざわたしの家まで来てくれたの？
「…朔ちゃんと、ちゃんと仕上げたよ？」
「そ。ならいーんだ」
…？
飛呂くんは、本当に分からない。
