「…君花、」

~♪~♪~♪


「…あ」


朔ちゃんが何か言い掛けた時、わたしのカーデの中でスマホが震えた。

…? 知らない、番号…。


「…っ!」


誰からなんて、分かるわけないのに。

それでも、わたしの中の直感は、ある人を想像して。

そんなの、あるわけないのに。

でも、どうして……。


「…出ないの?」


番号を見つめて固まってると、朔ちゃんから声をかけられて。

「…でっ、でるよ!」

「……」

それで我に返ったわたしは、番号の主の声を聞くべく、通話のボタンを押した。


「…もしもし」


『…もしもし。ヒヨコで合ってる?』


「…ひっ、」

ひ、ひひひ飛呂くん………っ。


す、すごい。思った通りだ。
直感は時に運命を先取りすると聞くけど、それは本当だったんだ。


「…飛呂くん、どーして…」


『高橋経由で、岸谷さんから聞いた。どーしても、気になって。今日の書類』

「……あ」 


……な、なんか。

電話の声、いつもの声より、低く感じる。

どうしてだろう。