朔ちゃんママと2人で暮らしていた朔ちゃん。寂しい時とか、お母さんとケンカした時は、必ずと言っていいほど、おばあちゃんの家に逃げていたよね。
それを、わたしは距離も考えずに追いかけて追いかけて…………。
「…えっ?」
思わず、立ち止まる。
周りを見渡すと、家から少し離れた堤防まで来ていた。
「…おばあちゃんの、おうち…」
呟くと、昔の思い出が鮮明に脳裏に流れ込んでくる。
いなくなった朔ちゃんを追いかけていくと、そこにはいつも朔ちゃんのおばあちゃんがいた。
……朔ちゃん……。
その場所は、あの頃のわたしにとって、とてもとても遠かった。見つけたお母さんたちは、びっくりした顔をして、わたしたちを叱って…。
「…あの駅の、近くだ…」
朔ちゃんのおばあちゃん家の場所は、ここから二駅ほど離れた場所。落ち着いていて、緑が多くて…。
「朔ちゃんは、あそこにいるんだ…」
そう思ってしまってからは、もう迷うこともなくなっていた。