【着信:アニカ】
「アニカ?」
びっくりした。かけようと思ったらアニカからかかってくるんだもの。
やっぱり、以心伝心なのかもしれない。
…なんてちょっと弾んでいる心を抑えながら、受信のボタンを押す。
「もしもし」
『もしもし、君花?おはよう!』
「おはよう…って、昼前だよ」
『アハハ、いいじゃん細かいことは〜』
…数日会ってないだけなのに、なんだかこの声が懐かしい。ようやく聞けた、って、心もホッとしてるのが分かるよ。
「それで、今日はどうしたの?」
携帯の向こうではしゃいでいるアニカに用を聞く。すると、アニカはちょっと声のトーンを下げた。
『あーうん、加野くんと、連絡とれたかなーって』
「…」
…あぁ。そっか。やっぱり心配してかけてきてくれたんだね。
「それが、まだとれてないの。一昨日かけて、昨日と今日はまだかけてないけど…」
…補習行ってたら悪いなって思っちゃったんだよね。朔ちゃん、テストの時に休んじゃったから。
『え、一昨日からかけてないの?!じゃあ今日は今すぐかけなよ!』
「えっ?!今すぐ?!」
『そーだよ!あのねぇ、こっちは加野くんと連絡とりたいんです!っていう気持ちが伝わらないと、ダメだよ』
「…」
連絡とりたいんです、っていう、気持ち…。