飛呂くんは、テストが終わった後に、わたしの体調を気遣いながら、屋上に連れてってくれた。

あれから一度教室に戻って、必要なテストは全部受けた。

頭がぼーっとしてたけど、なんとか、すべて埋めることはできて。


ただ…

「潮田、今日、加野がどうしてるか知ってるか?」

教室に帰ろうとしていた途中で、朔ちゃんの担任の先生にそう聞かれた。

訳を聞くと、まだ朔ちゃんは学校に来ていないようで。

携帯に連絡したけど、まったく出ないんだとかなんとか…。


わたしも心配になって、電話しようとしたけど、隣に飛呂くんもいたし、その場ではやめた。


…朔ちゃん、あれから学校きたのかな。



「…ヒヨコ、こっち」


飛呂くんは、できるだけ暑くないように、日陰に連れてってくれた。

追いかける背中。その背中は広くて、背も高くて、本当に、本当にかっこいいと思った。

…飛呂くんは、ほんとうにわたしの、王子様だ。


その場にちょこんと身体を下ろして、購買で買ってきた飲み物を出した。

飛呂くんが買ってきたサイダーをあけると、プシュッと、涼しい音がした。


「…あー、あっちーな」

「そーだね」


…今から、あのことを話さなきゃいけない。