ひ、飛呂くん?!

「…っ!」


思わずびっくりして、口元を押さえる。

だだだだって…すぐ近くには保健室の先生だっているのに…っ!


「…だめだよっ」


わたしは必死に飛呂くんを止めようと胸をグイグイと押していた。

飛呂くんは少しだけ離れてくれたけど、それでも少し、わたしをジッと見つめて、何か言いたげな顔をしていた。


「…飛呂くん?」


どうしたのかな。

あんなことするなんて、飛呂くんにしてはかなり、珍しいし…。

なにか、あったのかな…。


名前を呼んで、どうしたの?と、尋ねてみるけど、飛呂くんはしばらく口を閉ざしていた。


そして、先ほどと同じように、顔を近づけてくる。


「…っちょ…」


先生いるからだめだよっ…!と、再び押し退けようとするけど、寝転んでいるわたしにとっては、そんなことが敵うわけもなく。

「…っ」


半分ほど、飛呂くんがベッドにのぼってきたところで、そっと目を開けた。


カーテンの向こう側では、保健室の先生が他の先生に呼ばれて、パタパタと出て行く音も聞こえてきて。

…半分ホッとしたのも束の間。


「飛呂く…」


余裕のなさそうな顔でわたしを見つめていた飛呂くんは、わたしの制服の襟を掴んだ。

ビッと、襟を広げられて、思わずビクッと反応してしまう。

何をされるのかと思ったけど、そこで飛呂くんの手は止まった。