ーー次の日の朝、朔ちゃんからメッセージが入っていた。
『今日は朝行かないね』
「…」
ほっとしたような、もやっとするような。
でも、やっぱり昨日の今日で会えないと思っていたわたしにとっては、少しだけ、ほっとした。
迎えに来ない朔ちゃんに、お母さんは少し不思議に思っていたけど、そのまま送り出してくれた。
「…」
朔ちゃんがいない道を、とぼとぼ歩く。
まだ、時間はある。だからかな、なんだか学校までの道のりが、遠い。
…昨日は、あれから何もできなくて。
夕飯も食べられなければ、夜も眠れなかった。
飛呂くんとアニカからメッセージが来てたけど、それにも返信できなくて。
…特に、飛呂くんには。
「…朔ちゃん…」
昨日は、ずっと朔ちゃんのことを考えていた。
わたしに、あんなことをした理由。
幼馴染の域を越えてしまった、その理由。
わたしが怒らせてしまった、理由。
…朔ちゃんは、きっと、わたしが飛呂くんのところに遊びに行っていたのが嫌だったのかもしれない。
そこで、キスしたのが、嫌だったのかもしれない。
わたしから言ったわけじゃないけど、きっと、そういう気持ちが、表に出ていたのが嫌だったんだ、朔ちゃんは。
朔ちゃんは、わたしを鈍感と言った。
わたしはきっと、どこかで朔ちゃんに甘えていたんだ。
…朔ちゃん。
ごめんなさい。本当に、ごめんね。