かまかけられた。
かまかけられた。なに今の!!
「朔ちゃんひどい!!」
「なんでだよ!つーか何も言わなくてもその顔見れば分かるわ!飛呂くんの名前だした瞬間、真っ赤になるんだからな!」
バッ、と、両手で顔を覆った。
うそ、ほんとに?
そんなにわたし、顔に出てるのかな…
でもさっきから、確かに顔が熱くて…
「…もう、やめてよ、からかうの」
「……」
ただでさえ、今までで一番ドキドキした経験だったのに…。
ここにきて、また思い出したら心臓持たないよ…。
「…飛呂くんと、何かあった?」
「え?」
「今日、なんかったの?」
キィ…と、椅子を戻して、朔ちゃんは再び机と向き合った。
わたしは、ちょこんと床に腰を下ろして、後ろにあったベッドに背中を預ける。
「…べつに………」
何かあったって、あったはあったけど、だからドキドキしてるわけだけれど…。
こういうこと、朔ちゃんに言ってもいいものなのかどうか、よく分かんないしね。