『いいよ』
朔ちゃんからは、すぐにそう返ってきた。
家の前に立っていたわたしは、そのまま足を進めて、朔ちゃんの部屋へ向かう。
…まったく、相変わらず鍵が開いてるんだから。
「朔ちゃん、入るよー」
「おう、君花、どうしたの」
机に座っていた朔ちゃんは、そのまま後ろを向いて笑った。
…お勉強、してたのかな。
「お煮しめ持ってきたの。朔ちゃんが好きなやつ」
「え?!もしかしてサトイモのやつ?!」
そうだよ、と答えると、朔ちゃんはものすごく喜んでいた。
いつもは大人なのに、こういうときはいつも、子供っぽくなる。
いそいそと冷蔵庫にしまった朔ちゃんは、そのまま部屋に戻ってきて、また元の席に着く。
朔ちゃんの夕飯は、いつも遅めなのだ。