飛呂くんの耳元でそうつぶやくと。
「…飛呂くん?」
飛呂くんは少しだけ腕の力を抜いて、わたしの方を向いた。
「…ッ」
……わ………。
飛呂くんの、顔、ものすごく近くにある…。
「…きみか、聞いて」
「なに…?」
どきどき、する。 胸が痛い。
「俺、本当にお前のこと、好き……だか、ら……」
「……!」
照れた顔も、そうやって、少し怒ったように顔を逸らすのも。
わたしも、本当に本当に、飛呂くんのことが好きだよ。
「飛呂くんでも好きとか言うんだね」
「ば…ッ、お前それこの前も言ってただろ!そういうことイチイチ言うな!!」
「だって、そういう飛呂くんがわたしも好きだもん」
「…!!」
…朔ちゃんと、言い合ってた好きとは違う。
当たり前のように、伝え合う好きとは違う。
こうやって、真っ赤になって、いつもはしない顔で、一生懸命に絞り出して「好き」と言う。
これが、飛呂くんの「好き」の伝え方なんだ。