手は、繋がったまま。


「…悪かった。久しぶりに遊べたのに」


冷たかった指先が、徐々に温かくなる。


「いいよ。楽しかったし。飛呂くんのせいじゃないもん」

「…いや。あそこで帰ろうっていった俺の判断ミスだから。お前は悪くねーよ」

「でも、雨が降らないうちに帰そうとしてくれたんでしょ?それが嬉しかったから、いいの」

「……」


飛呂くんは、きっと、飛呂くんなりにわたしを守ろうとしてくれている。
それが伝わるから、飛呂くんがそんなに落ち込む必要はないと思う。

…それに…。


「これからも、何回だってあるよ。今度は、晴れるかもしれないし」

「…」


そうだよ。今回だけじゃない。
これから先、たくさんたくさん、飛呂くんとの時間は作れる。


「ポジティブかよ」

「そうだよ。物事は前向きに考えなきゃ」

「…ふ」


少しだけ笑った飛呂くんは。

そっと、繋がっている指を握ってくれた。