「…はぁ。謝んなくていいし」
そう言って、飛呂くんは彼のすぐ近くにあったベッドへ顔を突っ伏してしまった。
顔が見えなくなってどう反応しようかまた考えていると、すぐにその顔は挙げられて。
「…」
ちらりと、少しだけ、わたしの方に向けられた。
「…ッ」
まだ少しだけ濡れた黒髪から見える、飛呂くんのきれいな目。
その目は、確実にわたしをとらえている。
「…飛、呂く」
「こっち、きて」
「…」
え……?
吸い込まれそうな目。
しんとした部屋に響く、飛呂くんの低い声。
甘く響いて、身体がじんと痺れた。
「…こっちきて」
「…」
手を差し伸べられて。
そのまま、突っ伏している飛呂くんの隣に座らされた。