テレビもつけない、聞こえるのは雨の音だけ。
そんな空間の中で、飛呂くんはただわたしの傘とにらめっこ。
わたしは、飛呂くんのジャージに包まれたわたしの腕や、足先、爪先を眺めていた。
「……」
…飛呂くんの、匂いがする。
抱きしめられたのは2回だけ。
告白をされた日と、その次の日、屋上で二人きりになった時だ。
あれ以来、飛呂くんを身近に感じたことはなかった。
…また、あぁやって、ぎゅってしてくれるのは、いつだろう。
「…」
…って、今二人きりだからもしかしてって考えてしまってる自分がいやだ!!
あああああ…。
わたしってもしかして、ものすごく変態…?
「ヒヨコ?なにそんな百面相してんのお前」
「え!?」
色々とヤラシイ妄想をしていたところを見られてしまったらしく。
そしてそれはしっかりと顔に出てしまっていたらしく。
飛呂くんに、変な顔で睨まれてしまった。
本当、何やってるのわたし…。