「制服も濡れたな。乾燥機回すか」

「え!?い、いいよそんな」

「いーから。俺のジャージ貸すし。つーかそのままいると風邪ひくぞ。テストもあんのに」

「…」


ん、と、手渡されるジャージ。

近くにある洗面所に連れていかれ、そこで着替えた。


…何も音がしない家。
飛呂くんのお家は、共働きなのだろうか。


「乾くまで2時間くらいかかるな。二階上がるか」

「…え」


テキパキと汚れた制服を洗濯と乾燥にかけて、荷物を持ち、二階へ上がっていく飛呂くん。

呆然としているわたしを振り返って、「来いよ」というように顎先を動かした。



…彼氏の家なんて、初めてくる。

今まで、朔ちゃんの部屋にしか上がったことがなかったから。

ますます緊張するなぁ。